助成事業の概要
今回、ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動を応援する「困り事を他人事にしない活動」応援助成で行う事業「赤ちゃん処」を取材しました。
今回はハロウィンパーティ!
前橋市小坂子町にあるコミュニティスペース「Hanare(はなれ)」。一般社団法人スリージェネレーションズの活動拠点です。
ここで月1回開かれている「赤ちゃん処」の取材に伺ったのは10月下旬、ハロウィン間近で、メンバーのみなさんも会場もハロウィンムード満点でした。しかも快晴!もう楽しい予感しかない!
午前10時、事前に予約してこの日を心待ちにしていたママと赤ちゃんが、続々と訪れます。
「赤ちゃん処」が始まったときから通い続けているママさん。初出産がまさにコロナ禍で、産婦人科での母親教室は対面式でなく動画配信だったとのこと。「これじゃわからない。誰に訊いたらいいのか不安だった。」…情報がほしくてInstagramで検索してこの「赤ちゃん処」を知り、すがる思いで参加したそうです。ここに来て、子育て中のママたちと些細なことでも気兼ねなく訊き合うことができる。小児科で処方された粉薬の飲ませ方の工夫や、急な発熱時の対応など、いくつもの不安を解消できたと嬉しそうに語ってくださいました。
今後やりたいことはありますか?と尋ねると「ハイハイレース!」と。そして翌月の赤ちゃん処で実現!
このほかにも、コロナ禍で2人の子の出産・育児に追われ「とにかく大人と会話したかった」という人や、人に預けてカフェで息抜きと思っても「泣いていないかな、大丈夫かな」と気が休まらない…と打ち明ける人など、さまざまな思いをもってここに集まってきます。
多彩なメンバーがこの活動を続ける理由
「赤ちゃん処」を企画運営するメンバーは、実に多彩です。
カフェ経営、助産師、看護師、性教育アドバイザー、カメラマン、アロマセラピスト、ネイリストなど、さまざまな実績をもった人たちが集まって、「今、誰がどのように困っているか」「何が必要か」を、真剣に、かつ楽しく語らいながら、企画していきます。
「自分たちにできないことはない」と語るメンバー。これは傲りではなく、メンバーがそれぞれ解決すべき課題にきちんと向き合って、お互いの思いと経験を信じ合っているからこそ言える、チームとしての自信だと思います。
メンバーのみなさんに、この活動に参加している理由を尋ねると、「みんなの中にブレない思いがある。コロナ禍で活動をストップさせるのではなく、こんな時代だからこそ動く。今まさに困っている人に届くように」。企画会議ではときに激論を交わしながら、今必要なことを見極めて、とにかくやってみる。課題解決にチャレンジできる場として、メンバー個々人にとっても必要な場となっているようです。
参加者の赤ちゃんを抱いてあやしながら、熱い思いを語ってくださいました。
日本の女性に内在する意識のDNA
「母親の身体と心の健康は直接育児環境に影響します。コロナ禍で赤ちゃんを育てる環境がガラリと変わった今だからこそ、温かい食事をゆっくり食べる、大人同士で語らう、といったシンプルなことで丁寧に心身を満たすことが大切。」と代表の山川さんは語ります。
わが子を人に預けて自分だけ息抜きすることに少なからず遠慮がある人にとっては、同じ立場同士で見守りあいながらゆっくり過ごせる「赤ちゃん処」のような場がありがたいのではと思います。
育児という場面でまだまだ存在する、「母親という役割期待」に応えようとするために生じる、周囲への遠慮。
例えば、「私たちの頃は家事と育児の両立は当たり前に求められてきた」という世代間ギャップ。
例えば、夫婦共働き時代になったとはいえ、女性の方が短時間労働で家事育児をも担うことが期待されている風潮。
これらは、個々の母親たちが実際に言われていることというより、母親たちが「感じ取っている世相」で、もしかしたら日本の女性に内在する意識のDNAのようなものかもしれません。そういった意味では、筆者が20年前に経験した育児と比べて何も変わっていないように思います。
赤ちゃん期の育児は、振り返ればとても短い期間の出来事で、たいていの人は、大変だったことも思い出にして次に進んでいきます。そんな中でも「赤ちゃん処」の運営メンバーは常に“自分事”として寄り添って活動しています。今の自分たちにできることを、常に考えて行動に移しながら、社会のDNAを組み替えていく彼女たちに、これからも注目です!
助成先情報
群馬県前橋市小坂子町1593-2
https://www.facebook.com/maebashikodomo
https://www.instagram.com/akachandokoro/
E-Mail 3generationsmaebashi@gmail.com