助成先団体からの「成果報告」を掲載します。
詳細は団体が作成した「活動成果報告書」をダウンロードしてご覧ください。
助成概要
助成名 | 新しい活動を「つくりだす」助成 |
---|---|
団体名 | 特定非営利活動法人 キッズバレイ |
事業名 | グリーフケア・ネットワークぐんま『ことのは』 |
助成額 | [2020年] 2,908,000円 [2021年] 2,682,000円 [2022年] 2,316,000円 |
取り組みの概要
1 グリーフケアの概念を広める | ◆ロゴマーク、愛称、専用Webページ、リーフレットの作成 ◆公開講演会の実施 |
---|---|
2 グリーフケアの場をつくる | ◆ことのはカフェ(おはなしの場)を県内各所で実施(東毛、中毛、西毛、北毛) ◆子ども、男性、死産・流産などテーマ別の場を企画実施 |
3 グリーフケアを担う人を育てる | ◆『ことのは』らしい支援のあり方の試行 ◆ファシリテーター4名育成 ◆ことのはサポーター(いっしょに活動する人)約20名 |

グリーフケア・ネットワークぐんまの全体像
3年間を振り返って
2023年9月某日に訪問し、この3年間の思いを語っていただきました。

振り返りの様子
◎「ことのは」という愛称に込めた思い
この活動を始めるのにあたり作成した、愛称とロゴマーク。
グリーフケアを社会に広めていくためだけでなく、グリーフケアに取り組むメンバー各々が、活動のなかで立ち戻るメルクマールが必要だと考えた、とのこと。
グリーフケアと一言でいっても、決まった支援方法・カタチがあるわけではありません。
グリーフを抱えたご本人とどのように向き合い、何を大切にしていくかを、メンバー同士で話し合いながら、この会らしいグリーフケアのイメージを形作っていきました。
一人ひとりの思い、ココロの言葉を大切にする活動にしたい。
『ことのは』という愛称に思いを込めて、活動がスタートしました。
◎まず、話そう。言葉にならない思いを。
キッズバレイの今までの活動で、グリーフを抱えている人や、グリーフケアに関心のある人と繋がっていたので、まずはその方々に声をかけて、プレ企画としてお話会を開催。
6名の方が集まり、それぞれがご自身の胸中にある思いに向き合い、少しずつ言葉にしていきまいた。
実施後のアンケートを見て、やはりこのような場が必要だと、メンバーのみなさんで確信したそうです。
◎グリーフを抱えた人の、周りの人にも届けたい。
グリーフケア事業を、グリーフを抱えた方々に届けるために、さまざまな方法で周知しました。
その中でもリーフレットは、ご本人向けだけでなく、周囲の“支え手”向けのものも作成。
グリーフからの回復には、ご本人が日々接する周りの人たちの理解が欠かせません。
実際に、周りの人から「どう声を掛けたらいいかわからない」という話もあり、支え手への啓発にも注力しました。

『ことのは』担当スタッフ兼ファシリテーターの柏瀬眞美さん
◎『ことのは』らしい支援を模索
グリーフケアにも、さまざまな形があります。より専門性の高い相談支援や伴走支援を行うものもあるようです。
では、『ことのは』らしい支援とは?
おそらく、対等な立場で寄り添う“ピアサポート”的な支援であることだと思います。
ご本人が心の中の思いを言葉にする「過程」を大切にし、ファシリテーターが対等な立場で聴く・話す・共感することを大切にしています。
最初のお話会の参加者の一人、中村沙樹さんは、参加のきっかけを次のように話します。
「病気で亡くなった母への思いが参加のきっかけでした。母のターミナル期に、医療情報以外の、例えば家族がどうしたら本人のためになるのか、どうしてあげたらいいのか、といった情報はほとんどなかった。情報共有できる場もなかった。そのまま看取りましたが、ずっとモヤモヤが残ったままでした。」
中村さんは現在、ファシリテーターを務めています。
ことのはのファシリテーターは現在4名です。

お話会の参加者で、その後ファシリテーターになった中村沙樹さん
ことのはカフェなどの語り合いの場で、言葉と感情が結びつかずに詰まってしまうときもあります。
そのときは、ファシリテーターや他の参加者が同じ立場で「自分だったら…」と話し出します。
人の言葉を聞くことで、改めて自分の気持ちに気づく、そういう時間を大切にしています。

心の中にある言葉を丁寧に受け止めたい、と語るファシリテーターの丹羽美礼さん
◎チームで乗り越える
『ことのは』らしい支援を模索するなかで、欠かさず行ってきたのが「活動の振り返り」。
参加者の様子、ファシリテーターの働きかけ、場の雰囲気…どんな些細なことでも気づいたことを、スタッフみんなで話し合い、よりよい場を提供しようと改善を重ね続けています。
この活動の振り返りこそ、市民活動らしさであり、さまざまな立場の人がこの活動に関わっていくことができるしくみを作り出しているのだと思います。

いつも快活なファシリテーターの園田奈緒さん(この日はご欠席)
◎活動の広がり
今後は「子どものグリーフケア」にも力を入れていきたい、とのこと。
“死別”だけではない、さまざまなグリーフがあります。子ども自身が自分のなかにあるグリーフに気づくことが、成長期に必要な自己理解にきっとつながる。
安心して本当の気持ちを出してもいいんだよ、という自己肯定の場をもっと広げていきたいと、メンバーもみなさんが熱心に語っていらっしゃいました。
また、自死遺族の会や、医療・福祉の専門職分野からも、連携のオファーをいただいているそうです。
◎NPO法人キッズバレイも次のステージへ
桐生市を中心に子育て世代を応援する活動を続けて10年。代表理事の星野麻実さんは、この法人が、直接事業をするだけでなく、地域で活躍するさまざまな団体・人たちをサポートしていくポジションに発展していく段階にあると考えています。
その第一歩として、グリーケアのネットワークを広げていこう、と取り組み始めました。

活動者から活動支援者へ。団体も変革の時と語る代表理事の星野麻実さん。
この活動の輪が群馬県内に広がり、グリーフケアを機に互いを思い支え合う地域が増えていきますように。
赤い羽根共同募金は、これからも、このような市民活動を応援していきます。
助成先情報
〒376-0031 群馬県桐生市本町5丁目51 東武桐生ビル1階cocotomo101
https://kids-valley.org/index.html
https://cotonoha.info/
TEL 0277-46-7486